フォーラム・セミナー

芝浦工大大学院で『現代の建築プロジェクト・マネジメント』を教科書にした講義の第1回が開催されました

芝浦工大建築学部の志手一哉教授とCPDSの合同で企画する大学院向けの講義「建築生産マネジメント特論」が開講しました。4週連続8コマに渡り、書籍『現代の建築プロジェクト・マネジメント』をテキストに使用し、書籍執筆や委員会での議論に参加したCPDSのメンバーがリレー形式で登壇、実務に裏付けられた建築プロジェクト・マネジメントのツボを講義します。

初回となる9月26日は、芝浦工大豊洲キャンパス本部棟での授業が本格始動する日と重なりました。真新しい校舎を横目にしつつ、30年ぶりに受ける大学の授業の模様をレポートします。

芝浦工大新本部棟
講義のカリキュラム

講義には建築生産を専攻する大学院生12名が参加。ベトナムからの留学生も聴講していました。オリエンテーションに続けて、志手先生による1コマ目の講義は「日本の建築産業を理解する」。書籍の導入部、第1章と第2章に該当する内容です。編集作業の校正で何度も読み返した内容ですが、先生からあらためて話を聞くと、また新しい発見があるから不思議です。飛鳥時代、お寺の建設から始まった日本の建築産業には、土を扱う左官の他に木を扱う「右官」、工匠の長である大工に次ぐ「少工」という職名があったことをご存じですか?

90年初頭のバブル崩壊を境に右肩下がりとなる日本の経済に呼応して、建設需要もピーク時から半減し、職人の高齢化も進みます。山積する課題に表面的な対策を打つのでなく、根本的な解決策が必要だという指摘は書籍の第一部でも肝となる話でした。

建設産業の売上高の推移
志手一哉先生

100分の講義の後、休憩をはさんで2コマ目は弁護士の佐藤正謙先生。森・濱田松本法律事務所パートナーで、今年3月まで3年間、東京大学ロースクール(法科大学院)で教鞭をとられた企業法務のスペシャリストです。佐藤先生はCPDS初期の調査委員会・普及啓発委員会に参加され、建設プロジェクトの契約に関してアドバイスを頂いた方。書籍の第4章についても、相談をさせて頂きました。

講義は「建設プロジェクトのリスクマネジメント~契約による当事者の義務範囲の画定、リスク配分の観点から~」について。建設工事請負契約にまつわる“問題の所在と内容を正確に把握”した上で、解決の方向性を探るという講義の達成目標を最初に明確に示され、授業を進められました。建築学部の大学院生にとって、プロの弁護士から建設の契約実務に関する話を聞ける機会は、大変貴重なものになったと思います。現時点では理解できなくても、いずれ社会人になり、実務に携わるようになって振り返れば有意義な内容だったとわかってもらえることでしょう。

佐藤先生、志手先生ありがとうございました。来週は10/3、第2回の講義の模様をレポートします。

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