フォーラム・セミナー

今年度最終回・4回目の芝浦工業大学大学院での講義を開催しました

2023年10月30日

芝浦工業大学建築学部の志手一哉教授とCPDSのコラボで開講する大学院の講義「建築生産マネジメント特論1」今年度最終回となる第4日を開催しました。

CPDS普及啓発委員長である志手先生を主著者にCPDSが編集し昨年夏に出版した書籍『現代の建築プロジェクト・マネジメント』をテキストに、本の執筆やそれに至る委員会での議論に参加した各分野の実務者が大学院の修士1年生を対象とした講義です。

10月30日に行われた第4日、1限目はCPDS理事・MPMで日本郵政首席建築家である黒木正郎氏の「各関係者へのヒアリングから」と題した講義を受講しました。テキスト第8章~第11章、建築プロジェクトの発注者・設計者・ゼネコン及び発注者支援者の各関係者へのヒアリング結果のまとめをお話し頂きました。主な質問項目は①発注契約方式の選択、②要件整理と設計変更、③第三者による発注者支援の3つです。

まとめとして、建築家の果たすべき役割を提示されました。1つめは新しい概念に形を与えること。2つめは場所を読むこと。そして3つ目は人のふるまいを導くこと。英語のアーキテクチャの語源(ギリシア語で「初源的な技術」の意)まで遡り、建築家は単に建築を設計する者ではなく「物の基本構造を生み出す技術(思想)を持つ人」であるべきとのお話。学生の胸に響いたことと思います。

黒木正郎氏

志手一哉教授

2限目は志手一哉教授による総括の講義。明治・大正と欧米の建築方式を追いかけて来た日本が、ある時期を境に欧米からお手本とされるように。そこから進化した英国と米国の最新のプロジェクト推進体制を紹介。

特に米国では、従来であれば施工設計段階で動員される設備業者まで立ち上げ段階からプロジェクトチームに参加し、同じスペースで各々が設計を組み立てて行きます。アサインされたメンバー全員がプロジェクト実施合意書にサインし、覚悟とチームワークでプロジェクトが実施されます。それを支えているのがBIMであると指摘。前例に捉われ、新たなテクノロジーに戸惑うことなく、よりよいプロジェクトの進行のためにうまく取り入れ活用するという発想が大切です。

〇〇発注方式という型にとらわれることなく、プロジェクトの具体的な内容・事情に応じて最適な組み合わせを考え、柔軟に対応して行くことが大切と総括。日本をお手本にして欧米で進化したものをもう一度取り返す。そのためには発注者に将来の経済効果を見据え事業の結果に責任を負うという意識が必要と締めくくりました。

これで今年度も4日間・計8コマの講義がすべて終了しました。年度末に学生たちからレポートが提出されます。どのような評価を頂くのか、楽しみにしたいと思います。志手教授、このような機会を提供頂きありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。

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