2023年10月16日
芝浦工業大学建築学部の志手一哉教授とCPDSのコラボで開講する大学院の講義「建築生産マネジメント特論1」第3日を開催しました。
CPDS普及啓発委員長である志手先生を主著者にCPDSが編集し昨年夏に出版した書籍『現代の建築プロジェクト・マネジメント』をテキストに、本の執筆やそれに至る委員会での議論に参加した各分野の実務者が大学院の修士1年生を対象とした講義です。
10月16日に行われた第3日、1限目はインフロニアホールディングス綿鍋氏の「発注者の役割と入札契約方式の多様化」と題した講義を受講しました。建築プロジェクトの全体を概観した後、公共工事における発注者の役割、自治体の抱える課題そして多様な入札契約方式について講義。1990年頃のバブル崩壊と建設業界の談合決別、日米構造協議がターニングポイントになったと言います。公共施設ストックは、国が45km2=練馬区と同じ位、地方自治体分は600km2=東京23区とほぼ同じ規模とのこと。良質なストックの維持保全が今後の大きな課題となります。発注契約方式については、多様化は必然であると指摘しました。
2限目は竹中工務店の小菅健氏「透明性確保と発注者支援型CM」。適正価格の納得感をどう得るか?建築でもパソコン購入でも基本は同じで「比較」と「積み上げ」という方法があり、それぞれ「プロセスの透明化」と「コストの透明化」という目的の違いがあります。設計者の選定については、プロポーザルとコンペの違いを分かりやすく解説。コストの透明化について、実費精算方式におけるインセンティブとペナルティの様々な設定方法を紹介、解説。発注契約方式は「選択」するものではなく「構築」するものであると強調しました。また、PM/CMという言葉の日本の建築生産様式に合わせた独自の変化についても指摘しました。
講義の後、学生から次々と本質に迫る質問が出ました。真剣に耳を傾け、鋭い質問をした学生たちの将来に希望を感じる講義でした。今年度最終回となる第4回は、2週間後の10月30日に開催される予定です。