フォーラム・セミナー

第11回CPDSフォーラムを開催しました

CPDS官民連携委員長・社会システムデザイン株式会社取締役の岡田孝さんをお迎えして開催した第11回フォーラムは会場が満席となる13名の方にご参加いただきました。

20年前、2004年から前職である日本総合研究所で官民連携事業に関わった岡田さんは、国内PPP/PFIの歴史とともに歩んできた方。「PPP/PFIのいろいろ」と題して、ここでしか聞けない貴重なお話を伺いました。

官民連携が通常の公共事業と異なるポイントは「施設」運営から「サービス」提供への変化。民間のノウハウを活かしたサービスのバリューアップが重要です。サービスによっては新たな市場と担い手創出にもつながる可能性があります。

PFI法が制定されたのが1999年、今から25年前。その後、2011年の法改正でいわゆるコンセッション(公共施設等運営事業)が位置づけられました。また、指定管理制度は2003年に地方自治法に位置づけられています。

PPP/PFIの手続等に係る留意点として、①事業性の確認・市場の誘導、②適切な条件設定、③公平性・平等性を担保し一定の競争性を確保、④施設・サービスの状況に応じた適切なリスク分担の4点をあげました。特に官民ハイブリッドでリスク分担しないとなかなか実現しないと指摘されています。ブラウンフィールド(既存施設運営)のリスクはある程度読めるが、グリーンフィールド(施設整備+運営)のリスクを取るのはハードルが高いとのこと。

難易度の高い官民連携事業の安定性・事業性を向上させる工夫として、岡田氏が手掛けられた実例を交えて紹介。愛知県国際展示場では当初5年間は公共がリスクをとり、6年目以降プロフィット/ロス・シェアを導入しました。愛知県有料道路の場合は開始当初からの導入です。(交通量目標値の上下6%の範囲は民間)空港コンセッションでは収益連動負担金(プロフィットシェア)のみだそうです。また、延長期間を限定せず柔軟性を持たせたり(競技場)、利用料金設定の柔軟性を担保(運動施設)するなど、将来のリスクに備えた事業設計の重要性を訴えました。

最後に世界のPPP/PFIの動向について紹介。欧米のコンセッションは可逆性があり、英国ではかつて盛んにPPPが導入されましたが現在、新規事業はとりやめているそうです。フランスではパリ市内だけで約700件のDSP(公役務の委任)が実施されており、今後の日本がめざす方向性に関して参考になるとのお話でした。

 岡田孝CPDS官民連携委員長

質疑応答では、それぞれPPP/PFIの実績が豊富な会員企業や官民連携委員会のメンバーから実務に裏付けられた意義深い質問が出されました。

PPPの導入はある程度の規模の自治体でないと難しい。基礎自治体が取り組めるようなシンプルな制度にしていくことが重要との指摘はその通りだと思います。PPPがうまくいく自治体の条件は、首長の覚悟、外から来た人の存在、経験豊富な職員の3要素に加え、議会と自治体の関係が良好なことが挙げられました。

年度末の繁忙期でしたが、ご参加いただいた皆さんが熱心に聞き入り、有意義なフォーラムとなりました。岡田委員長、参加者の皆様ありがとうございました。

 会場の様子

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